金融庁のアンケート調査(平成30年10月22日)に金融機関が困惑しているようです。
「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査」これは問答無用の強制捜査(報告命令)に他なりません。金融庁は「不作為の汚名」を雪ぐ決意、今回の調査目的は「第2のスルガ」の炙り出しのようです。
そもそも民間金融機関とは
金融機関の分類
金融機関は、大きく政府系金融機関と民間金融機関の2つに分けられます。政府系金融機関とは、政府が多く、または全額出資する特殊法人で、民間金融機関の補完を目的としています。民間金融機関では困難な案件に対しても政策的な立場から融資を行うことができる金融機関です。
民間金融機関は間接金融を行うものと直接金融を行うものにさらに分けることができます。
直接金融とは:貸し手が借り手に対して、直接的に資金の提供を行うものです。株式や社債の取引がこれに当たり、これを仲介する金融機関として証券会社あります。
間接金融とは:資金の貸し手と借り手の間に、間接的に資金の貸し借りを仲介する機関が存在するものです。この場合、貸し手と借り手の間に資金の直接的な取引関係はありません。間接金融を行う金融機関は、預金を扱うか否かでさらに分類できます。
- 預金を扱うものとしては、都市銀行や地方銀行などを含む商業銀行、信託銀行。
- 一方で預金を扱わない保険会社、ノンバンクなどは非預金取扱機関と呼ばれます。
近年、金融業界においては垣根を越えた相互参入が認められていますが、このように、単に金融機関と言っても様々な機関が存在します。
地域金融機関の役割
地域金融機関とは地域企業や、地域住民、地方自治体に対して金融サービスを提供する金融機関です。
そして地域金融機関としての最も重要な特徴は、文字通り地域に根差しているという金融機関であるという点です。
地方銀行を含む商業銀行の本業の本質とは、
- 預金を低い金利で幅広く集めて、
- その預金を元手に、より高い金利で貸し出しを行い、
- その差である利鞘を稼ぐというものである。
数多く存在する銀行において、このシンプルなモデルはすでに確立されたものです。
このため、国や地域ごとの経済状況の影響は受けますが、各銀行間において、ビジネスモデルを差別化することは容易ではなく、各銀行において同じような経営行動をとることが多いいようです。
銀行は資金の仲介、決済機能や信用創造を通じて、経済、金融活動における中枢を担っています。そのため、一般的な事業者と比べて、より高度な公共性を常に求められているといえます。そのため、銀行は様々な法令により厳しく規制されている業種です。
利用者保護の徹底
銀行法は1927年に制定され、それから現在に至るまで幾度も改正されています。
銀行法の中では、業務を営むための全般的な規定が網羅されていて、もしこれに違反した場合は業務改善命令が出され、行政処分を受けることになります。これまでにも、銀行におけるガバナンスの強化やコンプライアンスの徹底、利用者保護の徹底等の観点から、行政処分件数は年々増加しています。
このように銀行には様々な規制が存在しています。その規制は、自己資本比率規制などの健全性に関するもの、他業の禁止や子会社の業務範囲規制などの業務範囲に関するもの、独占禁止法による競争政策に関するもの、金融商品取引法やマネーロンダリング規制などの取引に関するものなど多岐にわたっています。
地方銀行の不動産融資(サブリース絡み)の問題点
金融機関と顧客が長期的に親密な関係を構築することにより、情報を蓄積させ、それをもとに金融サービスを提供することです。以上のように地方銀行においては、健全性や収益性と地域社会への貢献のバランスを取りながら事業を行うことが求められています。
しかしこれらの活動は、地域や顧客のニーズが把握されていなかったり、戦略性が欠如していたり、本業との関係が明確でないなどの問題もありました。昨今、不動産融資、特にサブリース絡みの融資について、守るべき銀行のモラルや戦略性の欠如があり、その結果、社会不安つまり市民生活に悪影響を及ぼしている地銀の存在自体がとても信じられません。
そこで重要となるのが、戦略的な視点を持ったCSRです。そこでは本業に関わる形で社会的な課題を解決することが必要となります。〔続く〕
大谷昭二(日本住宅性能検査協会理事長)
【参考】
金融商品取引法
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%9E%8D%E5%95%86%E5%93%81%E5%8F%96%E5%BC%95%E6%B3%95
金融商品取引法における広告等規制について